TALES OF DESTINY2 Roni×Kairu

2004.05.22(c)Csus4.sanatsuki

 

『コタエ』

 

本当に・・・弟としてしか見ていなかったんだ。確かに、よく懐いてくれて、可愛いとは思っていたけれど。

それが特別な感情だなんて、思っていなかった。

あんなコトしたいって思うなんて、自分でも思っていなかった。

 

もう歯止めが訊かない。

 

自分の気持ちに・・・気づいちまった。

 

* * *

 

ロニside

 

カイルとあんなコトになってしまってから早3日。

次の日の朝に目が覚めたカイルは、昼頃俺が心配して家を訪ねた時も、顔を真っ赤にしてすぐに近所のガキ供と遊びに行っちまった。

その次の日も。そして今日も。

 

流石にルーティさんにも何があったのかしつこく問われるし。

何より、このままずっとこうやって気まずいまま、だんだんカイルと疎遠になっていったらどうしよう・・・って。

すごく、不安だった。そんなのは耐えられなかった。

だから、そそくさと遊びに行こうとするカイルに、今日こそは・・・と、夜また部屋へ行くことを半ば強引に告げた。

 

* * *

 

カイルside

 

ロニに恥ずかしいコトをされてから3日が経つ・・・。

いつの間にかオレは意識を失っていたみたいで、だるい体を奮い起こしたのは昼頃。

母さんが何度も起こしに来てくれたらしいけど、いつにも増しておれは起きる気配が無かったみたい。

朝ごはんを食べて、ロニがウチに来た時・・・、昨日の自分のしたコトを思い出して、すっごく恥ずかしくなって・・・。

ロニを避けちゃったんだ。

もちろん、オレにそーゆーコトをしてきたのはロニ本人なんだけど・・・。

どーゆーつもりであんなコトしてきたのかわからない・・・。

ロニの考えてるコトがよくわからない。

ロニの考えてるコト、知りたかったけど・・・。

 

なんだか、怖かった。

 

* * *

 

ロニ視点

 

そして夜―――――

『コンコン』

カイルの部屋をノックする。

 

「入るぞ。いいな?」

 

返事が聞こえる前にドアを開け、部屋に入る。

カイルは風呂上りだったのか、頭をタオルで拭いていた。

手を止め、頭を上げて俺へと視線を向ける。

 

水滴が髪の先から首へと伝い、滑り落ちてゆくその様に。

ほてった頬に。

うるんだ瞳に。

何をしにきたのかを自ら忘れ去り、ただカイルのその肢体を掻き抱きたい衝動に駆られる。

なんとか自分を抑制させ、口を開く。

 

「頭、ちゃんと洗えたのか?」

「ぇ?ぁ、あたりまえだよっ!!」

 

・・・・・・その会話のやりとりで、つい、先日の出来事を思い出してしまった。

それはカイルも同じだったらしく、いそいそとまた髪の毛を拭き始めたタオルの隙間から見える頬と耳が、ますます真っ赤になってしまっていたのがよくわかった。

墓穴を掘ってしまった・・・。

俺は決まりが悪く、自分の頬をぽりぽり掻きながら近くにあったイスを引き寄せて、座る。

少しの沈黙の後、再び口を開いた。

 

「悪かった・・・」

「・・・ぇ?」

「この前は、オマエにあんなコトしちまって悪かったよ。謝る。だから―――避けるなよ。お願いだ・・・」

「ロニ・・・」

「だから、前みたくお兄ちゃん・・・って。来てくれよ・・・」

 

自分の思いを言っているうち、カイルへの想いで胸がいっぱいになり、何を言っていいのかわからなくなる。

これ以上自分の気持ちを言ったら・・・他の余計な感情についてまで口走ってしまいそうで、唇を噛む。

自分のカイルへの想いをわかってもらいたい。伝えたいのは山々だった。

でもそれを言ってしまえば、今度こそ本当にカイルは自分を避けるだろう。軽蔑するだろう。

 

少しして、カイルが口を開いた。

 

「できないよ・・・」

「!?」

 

予想外のカイルの反応に、少し俺は驚いた。

カイルなら、笑って許してくれる。そしてまた、前みたいな日常が戻ってくると、どこかで期待している自分が居たから。

 

「な、なんでだよっ!?そんなに・・・そんなにヤだったか!?―――悪い。もう絶対にあんなコトしない。だから・・・だから・・・」

「ちがうんだっ!」

うろたえて必死に弁解していた俺を、カイルは急に大きな声で制す。

訳がわからなくてひたすら困惑していた俺だが、ふとカイルを見ると、涙が頬を伝っていたのに気付いた。

 

「カイ・・・ル・・・」

 

驚いて、ベッドに座っているカイルの方へ近づき、隣に座る。

あんなコトをしてしまった後なので、触れることでカイルを怖がらせないか不安だったが、下を向いてしゃくり上げているカイルの顎に手をかけそっと上向かせ、もう片方の手で涙をそっと拭ってやる。

するとカイルは俺の手を掴み、ぎゅっと握ってきた。

 

「ロニ・・・。オレ、なんかよくわかんないんだっ・・・」

一呼吸置いてカイルはぽつりぽつりと話し出した。

 

「ロニに急にあんなコトされて・・・恥ずかしくって・・・最初はそりゃぁびっくりしたよ。けど・・・なんか、イヤじゃなかったんだ。すっごく気持ちよくって・・・。朝目が覚めた後とかも、ずっとロニのコト考えちゃうし。なんか・・・今までと違うんだ。」

 

急な信じられないカイルの告白に、動揺を隠せない。胸が高鳴るのがわかる。

このまま自分の良い様に解釈してしまってもいいのか・・・。

その後の展開を期待してしまう自分がイヤだったが、そんな俺の考えを他所に、カイルは話を続ける。

「胸が・・・きゅーって締め付けられて、体が熱くなっちゃうんだ。またロニと触れたい。またあーゆーコト、したいな・・・って―――。」

「カイ・・・ル・・・」

 

「これって!・・・これって、『好き』って気持ちなんだよね?色々考えて、オレなりに答えだしてみたんだけど・・・。オレ、ロニのコトがスキ・・・・・・みたいなんだ・・・」

「カイル・・・・・・!」

 

俺は思わずカイルを抱きしめた。

自分自身も、カイルへの想いが恋愛としての『好き』なのか、家族愛、師弟愛としての『好き』なのか、わからなかった。

どこかでその答えを出すのを恐れて・・・。

結果、理性の赴くままにカイルを傷つけてしまったのに・・・。

なのにカイルは、自分からこうして答えを出してくれた。

それにただ答えたかったし、答えなんて初めから決まっていて―――

 

言葉では、伝えられなかった。

 

知らず知らずのうち、カイルを思いっきり抱きしめてしまっていたらしい。

「ロニ―――苦しいよっ!待ってっ・・・!」

「・・・ぁ・・・・・・悪ィ・・・。」

「・・・でもオレ、すごく不安で・・・。一つだけ聞きたいコトがあるんだ。ロニは・・・ロニは、オレのコトが『好き』だから、あんなコト・・・したんだよね?それとも・・・」

 

真直ぐに無垢な瞳で、少し眉根を寄せて不安気に尋ねてくるカイルが愛しい。

でも、そんな不安な想いをさせてしまったコトが申し訳なくて・・・情けなくて・・・

 

「あたりまえだろっ・・・好きだ・・・。カイル、好きだ・・・」

不覚にも、涙ながらにそぅ訴えた。

 

「・・・・・・へへ、よかった。ロニ、大好き!」

 

      * *

 

その日はルーティさんに断りを入れ、泊まるコトにした。

仲直りしたのかと安心するルーティさんに、少し罪悪感を感じてしまったが・・・。

そしてそのままカイルのベットの上で一緒に眠り、何十ものキスの嵐を降らせながら、眠った。

隣で規則的な寝息を立てて眠るカイルを撫でてやりながら、ふと窓の外へ視線を向けると、恐ろしい程美しい蒼い夜空と金の星があった。

 

色々思う所はあるが、とりあえず、今は幸せなのでいいのだ。

そぅ自分に言い聞かせ、眠るコトにした。

 

 

END

 

■アトガキ■

前回のロニ兄ちゃん暴走。の続き、ロニ兄ちゃんヤッタネ!です。(違)いゃ〜文章おかしくてスミマセ・・・orz

でも今まで色々考え、温めてきたロニカイ小説なので今回もがんばりました。

ですが、第1弾からこの第2弾までブランクありすぎ!ずぇす。ですが第3弾も作成中ですのでよければお待ち下さいませ。

読んで下さった方、ありがとうございました。ブラウザバックでお戻り願います。